丹波通信889 井原西鶴から知る「金持になれる妙薬」

かの有名な井原西鶴の「日本永代蔵」その中の巻三の一に「金持になる妙薬」として「長者丸」と言うものが出ています。すなわち、ちょうど漢方薬の配合で言う処の様に、長者になる為の処方として、次の事を混ぜて処方すべし、と言うのです。「朝起き五両、家職二十両、夜詰め八両、始末十両、達者七両、この五十両を細かにして、胸算用秤目の違いなきように、手合い年を入れ、これを朝夕飲みこむからは長者にならざると言う事無し」

「朝起き五両」と言うのは、要するに朝もちゃんと早くから起きて、勤勉に働きなさいと言う事。これが長者になる為の、五十両の内の五両、つまり配合が10%に当たると言っています。

「家職二十両」これは、あれこれと気を散らさないで、自分の処の家業に励みなさいと言う事です。最も優先順位が高いのは、至極当然の処です。

「夜詰め八両」は、これは夜なべ仕事をしろと言う事。朝起きが五両で夜なべ八両と、早起きよりも夜なべ仕事が重んじられている、と言うのはなかなかに興味深い。

「始末十両」と言うのは、これまさに倹約、節約、無駄遣いをしないと言う事です。

 それから面白いのは最後の「達者七両」と言う処。達者すなわち健康で無ければいけないと言う事。金持になる為には健康である事が「朝起き五両」よりも大切な事だと言っています。

 つまり、重要とされている順に言えば、「まず、自分の職業をきちんと勤めなさい、そして、無駄遣いをしない様にして、夜も無駄にしないで夜なべ仕事もしなさい、そして健康に留意しつつ、出来れば早起きして仕事に励め」と言う事になります。

丹波通信

中嶋祥人の丹波通信 トップセールスマンの歯に衣着せぬ物言いで人気のコラムをHPでも発信中

0コメント

  • 1000 / 1000